2014年1月3日金曜日

推薦システムの秘密

私の今日の Mynd "Discovery" タイムラインより、 シャクルトン南極探検隊の新たな写真が発見されたというニュース。

私は昨年「エンデュアランス号漂流記」(E.シャクルトン著/木村義昌・谷口善也訳/中公文庫Biblo) を読んで感動したところだったので、この記事を推薦されてちょっと驚きました。

しかし、これは Mynd の推薦システムが私のことを知り尽しているからでも、 超常的なアルゴリズムを備えているからでもありません。 医者の最大の秘密が「ほとんどの病気はほうっておけば治る」ことであるように、 これは推薦システムの最大の秘密の一つです。

つまり第一に、ほとんどの人間は自分が思っているほどユニークではない。 そして第二に、 荒っぽい方法で推薦したものでも、たまたまユーザの心に強くヒットすることがある

この場合、まず「エンデュアランス号」は私が思うほどマニアックな記事ではない。 だからこそ、Wired のようなメジャーなメディアで紹介されたのです。 調べてみると、この探検報告はリーダーシップのお手本として経営者などに人気があるそうですね。 そして、この推薦自体の手がかりは、Wired の記事であること、科学系であることなど、数少なく弱いものだったはずです。 それを私が勝手に感心したのです。

推薦技術なんて大したことがない、と言っているわけではありません。 非常に高度な技術とアルゴリズムに裏打ちされているのは事実です。 それでも人間の好みを機械が理解するということはまだまだ困難で、 今のところ心理学的なトリックが強力な相棒にならざるを得ない、というところが真実でしょう。 しかし、この段階でもけっこう役に立つのです。 数%の推薦精度の向上が何億円という利益をもたらすこともありますし、 何と言っても、こういった事情を良く知っている私がうっかり感心してしまうくらいなのですから。

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